「おかえり!」
そう言って、門前で待ち構えるあいつは狡い。
迎えなど不要なのに、いつもいて、俺の顔を見て笑うからだ。
ひとが帰ってくる時を知っていたかのような余裕の表情が憎たらしくて、俺は睨み付けるが気にした様子もなく、人懐っこく声をかけてくる。
今回は遅かったなとか、けがはしてないかとか、食事はしたかとか、顔色が悪いが寝ているのかとか、本当にどうでも良いことばかりだ。
そうやって、忘れたいと願っていることを思い出させては枷をつけていく。
しつこくしつこくしつこく。
あまりにしつこくて、うっとうしいので一言返してやる。
「ただいま」
また一つ、重みが増した。
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